さよならの朝に約束の花をかざろう


とても素敵な映画なのでぜひご覧ください。

【さよならの朝に約束の花をかざろう】

【有頂天家族】でいつもお世話になっているP.A.WORKS堀川社長のツイートを拝見していて、
なんだか素敵な映画が出来たんだなぁと知り、ふらっと観に行ったんですが
本当に良かったです。

本当に素敵なの。
みんな観て。
※続きはネタバレあります!

『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない』『心が叫びたがってるんだ』で脚本を担当された岡田麿里さんが、
堀川社長に背中を押される形で、こんな映画を作りたい!と初監督を務められた作品です。
映画づくりに携わったのは
P.A.WORKSのみなさんはもちろん、
キャラクターデザインに吉田明彦さん(FFXIVやグランブルーファンタジーのキャラデザ等)、
『凪のあすから』で監督をされた篠原俊哉さんが副監督、
同じく『凪のあすから』の石井百合子さん、『ユーリ!!! on ICE』の平松禎史さん等も参加されていて、
音楽は川井憲次さん。
スゴすぎるチームです…(詳しくは、さよ朝のHPをどうぞ!)

P.A.WORKSさんとお仕事させて頂くと
(といっても私はイベントで関係者のみなさまにお話を聞くくらいですが、それでも)
作品に対する熱量の凄さと、手がける作品にも作り手にも本当に惚れ込んでいらっしゃるんだなぁということを強く感じます。
この作品も、作品愛がいっぱい詰まってました。

長く生きることは、その分たくさんのさよならを経験するということ。
物語に登場するイオルフの民は、数百年生きる長命の一族。さよならの痛みをたくさん知っているからこそ、その痛みを和らげるためにできるだけ他との関わりを避けて暮らしています。
誰かを愛すれば、強く愛した分だけ別れの痛みも大きいから…
そう教えられ育ったイオルフの少女マキアが、人間の赤ちゃん(エリアル)を愛し育て、母になろうとする物語です。
2人はともに暮らし、同じ時間を過ごすけれど
成長するのはエリアルだけでマキアは少女の姿のまま。
エリアルの成長を喜ばしく思う一方で、エリアルの成長によって、二人が一緒に過ごせる時間が少なくなっていることを意識させられるのです。
別れが予想できてしまうのに、観客の私には時の流れを止めることができない、という歯がゆさ。
もちろん、体の成長だけじゃなく、エリアルは心も大人になっていきます。
変わらないマキアと変わっていく自分とが、一緒に暮らしていけないとわかった時、「大好き」という気持ちはこんなにも辛い…。

長命の一族に、空飛ぶ竜のような種族…登場するキャラクターや設定はちゃんとファンタジーなのに
キャラクターの心情に、寄り添わずにはいられないのです。
マキアが産まれたてのエリアルを取り上げる時に、しっかりと抱きしめたまま亡くなっている生みの母の指を、一本一本エリアルから剥がしていくシーンがあるんですが
あの指を剥がす音、とてもリアルだなぁ…と思いました。死後硬直で固まった身体を動かすならば、あんな音がしそう。
こういう細かい「リアルなこと」と、ファンタジーの美しさが折り重なって、この物語はできていて
だからこそ、キャラクターの気持ちを汲みたいと、必死になって見てしまうのかもしれないなぁと思いました。

大人になったエリアルが
「母さん…!」って呼ぶシーン。
忘れられません。
再会した2人の再びの別れ。悲しい。悲しいのに、それ以上にとても美しいのです。

キャラクターの表情、背景美術、光の当たり方、空の高さ…
この作品、どれをとっても本当に綺麗。
スクリーンに顔くっつけて観たとしても、たぶんワンカットたりとも物語の世界観を崩すことのない完成度。本当にすごい…1800円じゃ安すぎる。コスパ高すぎ。

買ったパンフ読みながら、いろいろ考えて、いろいろ調べて…。こうやって浸る時間がとても楽しい。

ユリイカの特集号も買ったので、読もう。

とりあえず、観てない人は観て。


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